商品情報管理(PIM)に於けるスペック管理の考え方

及びPIM-ROBOによるスペック管理の実現

商品情報管理(PIM)において、商品の管理対象として商品コード、価格など商品の基本的なプロパティ情報以外、商品のスペック一覧も管理できることが大変重要となります。

電化製品のカタログによく見かける仕様一覧表には、商品価格、サイズ、質量などの各種製品特性のデータを分類しながら階層化し、同類(シリーズなど)機種(モデル)毎の値をマトリックスとして表すことが多いです。また、車のカタログには諸元表として、同様な表現方法により車種別データを表しています。

家電の仕様一覧表や車の諸元表のような商品スペック情報を管理できることで、より商品の詳細情報を提供できるだけでなく、商品間の比較、仕様による商品の検索・抽出などを目的とするシステムの実現も可能となります。

商品情報管理(PIM)に重要な商品スペック管理について説明していきます。

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商品情報のスペック情報(Specification)について

スペック表は、製品の設計及び開発段階に置いて、製品が持つ最低限の性能の要求仕様としての仕様書の重要な役割として利用される場面と、カタログスペック即ち商品宣伝用の広告カタログ(チラシやパンフレットなど)に明示されている性能を表す場面に主に使われます。

カタログスペックは消費者がこのカタログに掲載されたスペックを単純比較して、自分の求める性能を持つ製品を選ぶ重要な指標となります。

本格的にCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入してWebサイトの生成・更新管理を行う場合、バックエンドとしてのPIMシステムとの連携が益々重要となります。その中のスペック情報は、製品情報のプロパティ、画像を同様に連携できることが、PIMシステムの利用価値を高める重要な要素となります。

スペック情報管理

スペック情報を管理する場合、家電・オフィス用品のような比較的機種の少ないデータ、仕様値の種別はどの機種も同じ共通仕様値及び機種別に異なる個別値の二種類のみでほぼ分別管理できます。しかし工業用製品のような、例えばパワーサプライ、センサ、押しボタンなど、製品数が数百、あるいは数千にもなり、スペック数も同様に数が多い場合、組み合わせのマトリックスは膨大な情報により構成されます。共通値・個別値の二種類だけでは管理しきれなくなり、もっとそれを効率化・細分化できる管理方法が求められます。

商品管理方法

一般的に細分化管理の方法として、製品の特徴・特性を適切に分類し、その分類に対してほかの仕様値に連動させてグルーピングを行うことが良く使われます。例えばパワーサプライの場合、出力電圧の違いにより製品のサイズ・質量が変わることが多く、それに従い、出力電圧によるグルーピングを設けることで影響を受けるその他仕様を同じグループ化し、まとめて仕様値を入力します。

このような複雑なデータをExcelだけで仕様及び仕様値管理を行う場合、カタログのスペック表マトリックス同様、仕様・機種のそれぞれの値をExcelの各セルに入力し、共通値の場合見方によるセル結合してまとめて入力することができたとしても、仕様数・製品数が多くなると、入力するデータ量、グルーピングによる対応が複雑化になり、またデータ重複入力を防ぐ問題、入力ミスを防ぐ問題、データ管理の一元化問題など、管理コストが大幅に増えます。

スペック情報のデジタル化の考え方

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)により工業用製品・電子部品に対して部品プロパティ(ECALS辞書)に関するコンピュータ可読な表現形式について規定する規約書が公開されています。

ECALS辞書とは

ECALS辞書とは、製品特性を表す仕様データを定義する際の指針として、仕様が持つコード、名称のみならず、そのデータタイプも細かく分類し、文字型・数値型・ファイル型など、幅広く定義できる規格を提供しているものです。

「一般社団法人 電子情報技術産業協会 ECセンター」のホームページに於けるECALS辞書及びECALSコンテンツに対して以下のように定義しています。『ECセンターでは部品分類の特性記述を標準化し、部品クラスとして定義した辞書を公開しています。部品分類辞書、プロパティ辞書、辞書間の関連の定義等を総称して「ECALS辞書」と言います。ECALSコンテンツとは、ECALS辞書に従って電子部品毎のプロパティ(特性のデータ項目)に値を設定したものを言います。』

また、量的プロパティに対して、単位を定義する以外に、レベルという、仕様値を四種類のもの、すなわち最小値(Min)、公称値(Nom)、代表値(Typ)、最大値(Max)に分類し、用途に合わせてレベルの組合せも定義し、より数値型仕様の細かく管理できるように規定しています。

以上の考え方に従いまして、商品スペック情報のデジタル化、電算化は、大きく仕様定義(クラス設計)、及びその定義に従い仕様値を入力する二つの段階に分けてシステム化する事ができます。

PIM-ROBOにおけるスペック管理の仕様定義

PIM-ROBOは、ECALS辞書のクラスをカテゴリとして論理的に表現し、そのカテゴリを階層ツリー化し、自由にツリーノードを編集できる機能を設けることで、クラスの階層管理を実現します。また、クラス下の所属プロパティを、具体的に親カテゴリ・子カテゴリ別に仕様項目を所属させてその仕様項目を定義する機能を提供しています。

更にカテゴリの下にシリーズを所属させることで、製品群の中で共通性のある、いわゆる同じプロパティ(仕様項目)を持つ製品・機種・モデルをまとめて管理できる仕組みを用意しています。

実際の作業フローにおいて、まずカテゴリ階層を生成し、重複のない仕様項目を定義しておきます。その後はカテゴリの下に必要なシリーズを作成し、カテゴリにて定義した仕様項目を継承・再定義しシリーズに所属させます。最後にシリーズの下に、該当する全機種・モデルを登録しておきます。

こうすることで、カテゴリ・サブカテゴリにより定義した仕様項目を無駄なくシリーズで利用することができ、シリーズにて一度だけ仕様項目を決めることで製品単位では再び定義することなく、効率良くカテゴリ・シリーズ・モデルの三段階で仕様項目を管理することができます。

PIM-ROBOでは仕様項目のデータタイプを文字型、数値型、真偽値型、画像型の四種類から選択することができ、データタイプに合わせて適切な仕様値入力用ユーザインタフェースを提供しています。例えば数値型のような複雑なデータタイプに対して、数値の単位はもちろん、数値のレベルの最小値(Min)、公称値(Nom)、代表値(Typ)、最大値(Max)またはその組み合わせ可能な定義・仕様値入力方法を用意しています。画像型仕様はECALSのファイルタイプに対応し、仕様値として画像ファイルをシステムに登録することが可能です。

PIM-ROBOにおけるスペック管理の仕様値入力

PIM-ROBOでは、仕様値の入力段階において、共通値・個別値のみタイプ分けし、簡単に仕様値入力できる手段と共通値・個別値だけでは管理しきれなく更にグルーピングできる複雑にタイプ分けできる方法の二種類を用意しています。

家電製品・オフィス用品・PCなど比較的に1シリーズの機種数・スペック数の少ない対象に対して、シンプル且つ素早く共通値・個別値の仕様値入力できます。工業用製品になりますと、製品別の型式数の増加または仕様数の増加など、スペックをグルーピングできる仕組みを用意し、より柔軟に入力できるようにしています。

共通値・個別値のみ入力の具体的な流れは、まずシリーズ仕様を定義する段階で事前に所属スペックを共通値か個別値に分類して設定しておきます。次に仕様値入力の段階では、共通値に分類されたスペックは一つの値だけ入力すれば完了できるものに対して、個別値は、製品毎の仕様値を個々に入力する必要があります。

グルーピングによる複雑なタイプ分け仕様値入力になりますと、作業フローのステップ数が増えます。

まずシリーズに対して、シリーズに所属する製品モデル(型式)の型番を定義する型式基準を定義するステップから作業を始めます。型式基準は、製品の型番を定義するための基準となるのみならず、仕様値グルーピングのために依存仕様の候補にもなります。

型式基準を利用した仕様値入力

製品の型番は、基本的にメーカーに自由に決められるアルファベットと数字の羅列により製品を特定するものとなります。「一般財団法人 家電製品協会」により、家電製品の型式設定のガイドラインが公開されています。その中、型式は基本型名(商品の機能・構造の違いを区別するために設定した記号)+付加型名(商品の属性を表すために設定した記号)として定義され、繋記号(ハイフン、スペースなど)及び使用すべき推奨文字(アルファベット大文字、アラビア数字)まで文書化されています。

なお、工業用製品の場合、家電製品以上に型式の重要性が増し、製品特定の効率化が求められます。

PIM-ROBOの於いて、型式の統一を図るためにシリーズ別型式基準を作成する手段を用意しています。シリーズ毎に型番を決める基準を設けることで、製品の特徴を表す仕様を利用することで製品を把握しやすいだけでなく、統一した複数の製品を管理しやすくなります。更に重要なのは、型式基準の各項目を仕様入力するためのグルーピング用の基準として利用でき、事前にそれらを型式の一部として設定することで、仕様項目のタイプ分け(例えば出力電圧の値によるサイズ、重量の変動など)を容易にできるようになります。

仕様定義、型式基準作成、製品(型式)登録、仕様のタイプ分けの作業を一通りできた段階でいよいよ仕様値の入力作業に入ります。

PIM-ROBOにおいて、仕様値入力の画面ではまず共通値、個別値、タイプ分け値の三種類に分けられ、それぞれを切り替えることで関連仕様の値を効率良く入力できます。

また、グルーピングによる仕様値入力において全体の仕様値を把握したい場合、型式・仕様値のマトリックスを簡単に切替でき、そのマトリックス上に直接仕様値入力も可能でそれにより個別値以外は、一つ入力しただけで同じグループの仕様値も連動入力されます。

更に、仕様値を細かく管理する際、同じ仕様でも使用条件などが変わることで仕様値も変化する場合があり、例えばパワーサプライの効率は入力電圧により複数ケースの効率値が存在する場合、PIM-ROBOでは仕様値する際に動的にケース別に作成し、仕様値入力をする方法も提供しています。

PIM-ROBOに於けるスペック管理の仕様値出力

製品のスペック管理の目的は主に製造部門の製品開発における情報共有や商品販売部門のカタログ作成の情報提供などを考慮し、PIM-ROBOではスペック表をExcel形式、またはHTML形式に仕様・型式の仕様値マトリックスをエクスポートできる機能を提供しています。

Excel形式を用いてスペック表の全体の把握、更にその先のデータ加工のベースとして、製品仕様書出力、PDFファイル作成など利用しやすくなります。

HTML形式のデータの場合、商品宣伝用の広告カタログの重要な役割としてのホームページ製作の情報の元となり、ホームページの作成が大変容易になります。

より本格的にCMS連携するニーズに対応するため、PIM-ROBOのデータ出力機能は非常に柔軟に設計されています。他の形式(XMLなど)へのデータエクスポート、情報指定、情報抽出など、あらゆるカスタマイズが容易に実現可能となることを目指しています。

まとめ

今回の記事では商品情報管理(PIM)に於ける重要な一部で、且つ一元管理の実現が大変難しいスペック管理について解説しました。

更にPIM-ROBOにおいて、どのような作業内容及びその作業フローを利用して具体的にスペック管理の実現できるかについても解説しました。あらためてPIM-ROBOを利用することで、商品情報管理上に各社抱えている課題、情報の一元化、作業の効率化、情報の細分化及び情報集約など、それらの課題を解決する有力な手段検討していただけたら幸いです。

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